岡山市の農業法人が開発した皮ごと食べられるバナナの栽培が広がっている。熱帯地域が原産だが、寒さに耐性を持つよう品種改良されており、九州でもたわわな実を付ける。バナナを枯死させる「新パナマ病」の感染が世界的に拡大するなか、国産に商機を見いだす生産者もいる。
皮は薄く、内側まで実がぎっしり。薄めの皮はシャキシャキとした食感で、簡単にかみ砕くことができる。実(み)は甘く濃厚――。
鹿児島県南九州市の農業法人「神バナナ」が作るバナナだ。法人が運営する農園で働く松本歩さん(32)は「皮が薄くなるのは、無農薬でつくっているから」と話す。農薬を使えば、バナナは身を守るために皮を厚くしてしまう。熟して落果する直前に収穫することで、ぎっしり実が詰まった状態になるという。
農薬を使わないだけに苦労もある。1・3ヘクタールに約2100株植えてあるバナナの木についた虫を取り除くのは手作業。それでも、1株に約120~150本の実がなり、1本800円超で売れれば1株で約12万円の売り上げになる。松本さんは「まさに金のなる木です」と顔をほころばせる。
扱うのは、岡山市の農業法人「…