佐賀県唐津市の玄界灘に浮かぶ、島民わずか55人ほどの小さな離島、松島。海を見下ろす高台にある高級レストランが人気を呼んでいる。福岡で腕を磨いた料理人が地元に戻り、父が海で捕ってきた新鮮な魚介類を使ってイタリア料理を振る舞う。1日1組限定だが、予約が相次ぐ。
松島は、イカで有名な対岸の呼子(よぶこ)から1日3往復の船で15分ほど。急な上り坂の先にある民家が「リストランテマツシマ」だ。
福岡市のイタリア料理店に勤めていた宗勇人さん(28)が帰郷して、2016年3月に立ち上げた。中学生のときから「島にはいい食材がある。将来は島に帰ってきて生かしたい」と考えていたという。
サザエの香草バター焼き。アカモクという海藻のマリネや野菜を使った盛り合わせ。アワビやクエ、タイ、イカ、ウニを使ったカルパッチョは、ウニがまだ動いている……。地元の新鮮な素材をいかした料理をつくり出す。
魚介類は海士(あま)の父、勇さん(56)が島の周辺で素潜りをして捕ってくる。弟の秀明さん(23)も昨年、島に帰ってきて一緒に捕るようになった。「格好良い仕事」と憧れていた宗さん自身もときどき潜る。
自宅で開いた店は次第に人気が…