国連トップとして初めて長崎の平和祈念式典に参列したグテーレス事務総長は9日、式典に先立って記者会見し、核兵器禁止条約に対する国連の姿勢として「全面的に支持し、発効することを望む」と述べた。
グテーレス氏は核軍縮が停滞する現状に「核に対するリスクが大きくなっている」と懸念を表明。「そのような状況の中で核禁条約が採択された」と述べた。核軍縮に後ろ向きな米国に対しては、「米国の決定は米国の決定だ。国連はできることを精いっぱいやっていく。これまで通り国連がすべき役割を果たす」と強調した。
長崎入りした8日には、被爆者団体の代表らとも面会した。「被爆者と会って厳粛な気持ちになった。被爆者は不屈の精神を持って街を再建した。被爆者の気持ちに寄り添い連帯したい。ノーモア・ナガサキ、ノーモア・ヒロシマと言い続けなければならない」と語った。
会見前に長崎原爆資料館を見学したグテーレス氏は、地元の小学生の歓迎を受け、平和を祈る折り鶴を小学生と一緒に折った。国連事務総長としては、2010年に当時の潘基文(パンギムン)氏が初めて広島の式典に参列したが、長崎の式典への参列はグテーレス氏が初めて。(山野健太郎)