米プロフットボールリーグ(NFL)のプレシーズンゲーム(開幕前のオープン戦)が9日始まり、複数の球団の選手が国歌斉唱時にひざをついたり、拳をかかげたりして人種差別に抗議した。トランプ大統領は2016年から広がったこうした動きを激しく批判していたが、選手側は圧力に屈しない姿勢を示した。
抗議は、警官による黒人への過剰な暴力に端を発したもので、フォーティナイナーズのQBだったキャパニックが始めた。昨季の開幕時には各チームに広がり、トランプ氏が「偉大なる星条旗を侮辱することは許されない」などと、非愛国的だと批判。国歌斉唱時に起立しない選手らに、「お前はクビだ」とかみついていた。
NFLは今年5月、選手らに国歌斉唱時の起立を義務づけ、起立したくなければロッカールームに残るとする新たな規則を設けた。だが、選手会がこれに反発し、選手会との話し合いがまとまるまで新ルールを棚上げすることになった。トランプ氏は10日、「NFL選手がまたやっている」「ファンは高いお金を払って試合を見に来ている。抗議の場ではない」「誇りをもって起立するか、給料なしで出場停止かどちらかだ」などとツイートした。(ニューヨーク=鵜飼啓)