「芦屋=牛丼の匂い」。こんな奇抜なアイデアをひっさげて、兵庫県芦屋市が東京で移住を促すPR活動をした。道行く人々に牛丼の匂いをかがせ、芦屋に思いをはせてもらおうという企画。でも、なぜ、牛丼?
PRイベントは6月25日~7月1日、東京メトロ新宿駅の通路で実施された。
鼻の形をしたオブジェを置き、通りすがりの人に鼻の穴に頭を入れてもらう。するとセンサーが作動し、牛丼の匂いが放出される。芦屋、神戸、淡路、洲本の4市が共同で取り組む移住促進事業の一環だった。
匂いの開発は、東京都港区に拠点を置く企業が担当。以前、ベーコンの焼ける匂いで起こす目覚ましアプリを作り、世界的な広告賞で銀賞を受賞したことのある会社だ。
芦屋市によると、PR期間中に鼻のオブジェで「匂い体験」をした人は約5千人。インスタグラムなどのソーシャルメディアでも拡散されたという。
ところで、なぜ「芦屋=牛丼の匂い」なのか。
将来的な人口減少を防ぐため、市が昨年3月にまとめた「シティプロモーション戦略」によると、インタビュー調査などから、首都圏では「芦屋=高級住宅地」のイメージが深く浸透していることが分かった。一方、暮らしやすさの情報は伝わっておらず、関西に転居しても、芦屋が居住地の候補に挙がりにくいという課題も浮かび上がった。
敷居を下げるにはどうすればいいか。内部で検討した結果、「手作りでおいしい」と評判の学校給食を前面に出し、親しみやすさをPRすることにした。
給食メニューの代表として、市内の有名料理店「京料理たか木」と、市の栄養士、調理師がコラボして作り上げた「スペシャル牛丼」を選定。企業が実際に市内の小学校を訪れ、給食で出された牛丼の匂いを採取して再現した。「スイーツの匂いにする案もあったが、インパクトを優先させた」と市の担当者は話す。
ただ、「イメージに合わない」…