大阪府警富田林署で留置中の容疑者が弁護士との接見後に逃走した事件を受け警察庁は14日までに、再発防止に向け、留置施設からの逃走を防ぐための設備について緊急に点検するよう全都道府県警に指示した。指示では、弁護士の接見終了を署員らがきちんと確認するなど、逃走防止の徹底も求めた。
面会室のアクリル板に足跡 容疑者が蹴破り逃走か
容疑者が弁護士と接見した際に起きた問題としては、2007年8月に栃木県警宇都宮中央署で殺人容疑で逮捕された男が接見後に面会室で自殺。署の担当者が接見終了から1時間以上気づいていなかった。この問題を受け警察庁は全国に対策を指示。弁護士らが出入りするドアの開閉時に鳴るブザーの設置などが進んだという。ただ、富田林署ではブザーの電池が抜かれて作動しないようになっていた。また、面会室で容疑者と弁護士らを隔てるアクリル板の1枚が押し破られていた。
警察庁は13年12月、逃走防止策を含む留置管理業務に関する要領を定め、全国に通達している。警察庁によると、面会に際し容疑者が逃走した事件は「把握している限り、過去にない」という。警察庁は、今回の逃走を招いた設備や署の対応の問題点が明確になった段階で、必要な対策をとるとしている。(編集委員・吉田伸八)