創志学園の夏が終わった。大会第11日の15日、山口代表の下関国際と対戦、最終回に逆転されて5―4で敗れた。選手らは涙を流しながら球場を後にし、3年生は後輩に「日本一」の夢を託した。
甲子園の全試合をライブ中継 「バーチャル高校野球」
夏の甲子園、歴代最高の試合は? 投票ベストゲーム
二回裏1死二、三塁。最初の好機で主将の金谷温宜(はるき)君(3年)に打席が回った。「初戦ではチャンスを潰した。何が何でもここで一本打ってやる」。初戦の創成館戦で5打席無安打だった金谷君は、悔しさを思い出していた。
2ストライク、1ボールからの4球目。バントの構えから金谷君は内角の変化球を鋭く振り抜いた。右中間を破る2点適時二塁打に。甲子園初安打で先取点を奪った。
3点を奪ったが、エース西純矢君(2年)の制球が定まらない。味方の失策などで2点を奪われ1点差。1回戦で16三振を奪った西君はこの試合でも注目された。センターから見る西君の背中には重圧がのしかかっていると感じた。
「1人じゃないぞ。後ろは守ってるからしっかり打たせていけ」。金谷君は声をかけ続けた。
しかし西君は本来のピッチングを取り戻すことができず、九回に3失点し逆転された。流れが相手にいく中で金谷君は「こういう場面でもしっかりつないで、1点でも多く全員でとっていこう」と主将としてチームを鼓舞し続けた。
「西に頼りすぎていたチーム全員の責任。攻撃で援護してやることができなかった。チャンスで一本出なかった自分たちの甘さです」と試合後、金谷君は悔しさをにじませた。
「この悔しさを糧に西にはさらに成長して、来年こそ日本一をとって欲しい」。チームを精神面から牽引(けんいん)した主将の夢は、2年生エースに託された。(沢田紫門)