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文化財298件が不明 所有者死去・転居など追い切れず

国や都道府県が文化財に指定した美術工芸品が相次いで散逸している。国などへの取材では、計約2万件余のうち、少なくとも298件の所在がわからない。所有者の死去や転居、売却などの際に届けられず、行政が追いきれていない。全件を追跡調査したところ、今年に入り、大量に所在不明が判明した県もある。


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国宝・重要文化財の散逸が社会問題化したのを受け、文化庁は2013年に初めて全件を調査。以来続けており、所在不明は今年6月現在で147件(うち国宝2件)。


47都道府県の指定文化財について取材した結果、26都道県で151件が所在不明だった。栃木県52件、静岡県22件、山形県15件などが多かった。足尾銅山鉱毒事件を追及した田中正造の墨跡(ぼくせき、栃木県)は個人が所有していたが、相続を重ねるうちになくなっていた。江戸後期の画家・渡辺崋山が松尾芭蕉の俳句を称賛した俳画(山形県)など、著名人ゆかりのものも多い。


【写真】盗まれて今も所在がわからない国の重要文化財


【写真】盗まれて今も所在がわからない都道県指定文化財


所在不明298件の中には盗難が58件(重文28件、都道県指定30件)あり、寺社の被害が目立つ。残る240件は9割が個人所有だ。理由は所有者の死去86件、転居72件、売却29件などで、種別では刀剣が133件と半数を超える。文化庁美術学芸課の担当者は「愛好家の需要も大きく、売買されやすい」と話す。


文化財保護法や都道府県の条例…


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