摂取する食品の種類が多いほど、日常生活を支障なく過ごせる「健康寿命」が延びる。そんな研究結果を、名古屋学芸大健康・栄養研究所長の下方浩史教授(老年医学)らの研究グループが17日、発表した。2010年度、日本は食品の種類の多さは世界2位で、健康寿命は最も長かった。
研究グループは、国連の食物供給量のデータなどから、人口100万人以上の世界137カ国の食品の多様性をスコア化して計算。健康寿命は、健康でない生存年数などから推定した健康度調整平均寿命を用いて、1995年~2010年の状況を解析した。
その結果、10年度の食品の多様性スコアは1位ニュージーランド、2位日本、3位スペインだった。健康寿命は1位日本73・6歳、2位スペイン71・9歳、3位スイス、イタリア71・7歳で、食品の多様性が高いほど、健康寿命が長い傾向にあった。また、平均寿命と健康寿命の差である「不健康な期間」の割合も小さい傾向にあり、日本は世界で3番目に短かった。
下方教授は「食材の種類が少ないと摂取栄養素に偏りが生じやすい。多彩な食材を摂取することが栄養素の充足につながり、疾患を予防しているのではないか」と話した。(黒田壮吉)