愛読書を持ち込めば、その冊数だけ、気に入った古書を持ち帰れる交流スペースが長崎県佐世保市にある。手製の書棚に雑多なジャンルの古書が並ぶ。本を持ち込む人と持ち帰る人が、互いを知らないまま、屋根裏の小さな空間で思いを交換している。 佐世保市広田1丁目の雑貨店の階上にある「屋根裏文庫」。医療系の研究機関に勤める横田夕子さん(41)が、友人の河野(こうの)睦美さん(37)と始めた。 看護師と主婦業をこなしていた横田さんは30代半ばまでは読書と縁遠かったが、転職を機に本に触れる機会が増え、その面白さに気づかされたという。 「読み終わった本を書棚で眠らせておくのはもったいない。『この本はよかったな』という思いを、誰かに共感してもらえたらうれしい。自分の本を旅立たせてみたい」 河野さんは司書として大学の図書館で働く。膨大な数の本を管理し、情報提供するのが仕事。それとはまったく違う本との関わりを模索する友人の提案に興味が湧き、賛同した。 ただ、本職を持つ2人は手間を最小限にとどめる必要があった。普段は階下の雑貨店の営業に合わせ、無人でオープン。誰でも自由に出入りできる形にした。 5月初旬に開設。2人は互いが時間を取れる土日に足を運び、掃除や本の整理をしている。「大げさな管理は要らない。お金も絡めない。これが、みんなでつくる文庫の本来の姿」 友人にも寄贈を呼びかけて、当初は100冊ほどで始めたが、現在は500冊を超えた。誰かに読んでほしい本を、寄贈する人もいるからだ。小説、エッセー集、ハウツー本などジャンルは多彩。屋根裏文庫に置かれた連絡帳には、子どもから大人までが、感謝の気持ちや感想を記している。 「好きな本が誰かから誰かへ渡り、またどこかで再会できたらすてき」と横田さん。こうした本を介した交流の場が増えていったらいいなと、河野さんと夢想している。 利用時間は午前10時~午後7時で木曜休み。問い合わせは階下の雑貨店TESORA(テソラ、0956・88・7186)へ。(原口晋也) |
愛読書、互いを知らぬ誰かの元へ 長崎の「屋根裏文庫」
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