長崎県壱岐市の市立一支国(いきこく)博物館が、近くの遺跡から出土した「人面石」をかたどった巨大クッキーを販売している。大きさは、大人の顔ほど。博物館は「考古学や発掘史料に親しみを持って」と期待を寄せている。
人面石は市内の「原の辻遺跡」で2001年に発見された、縦10・2センチ、横7・4センチの石。弥生時代に五穀豊穣(ほうじょう)を願ったり、先祖の霊を鎮めたりする際に使ったとみられ、国重要文化財に登録されている。
博物館は10年の開館時から、人面石とほぼ同じ大きさの「人面石クッキー」を販売。地元の赤米を使ったクッキーはサブレのようなさくさくした食感で、バターのまろやかな味わいが特徴だ。開館初日に450枚が完売したほどの人気で、今でも「ミュージアムショップの主力商品」という。
開館から半年後、人面石クッキーの5枚分にあたる「ビッグ人面石クッキー」の販売も始めたが、客の手に届く前に割れることが多かったため、5年ほどで発売を中止。しかしその後、「面白かったのに」「また売らないの?」という声が相次いだため、梱包(こんぽう)をビニールから箱に変えるなど、割れにくくする工夫を施して、再発売にこぎつけた。
ビッグ人面石クッキーはあまりに大きいため、家族や友達で分け合う時に一度割ると食べやすい。商品開発の際に学芸員から「人面石は割れた状態で発見され、修復した」と聞いた博物館の広報担当者は、「割ったクッキーも発掘史料のように、一度修復してみて」と勧めている。(田部愛)