太平洋に面した千葉県の九十九里浜で、珍しい蜃気楼(しんきろう、mirage〈ミラージュ〉)の観測報告が積み上がっている。この夏もこれまでに10日以上で確認された。蜃気楼の名所は富山湾を望む富山県魚津市などが知られるが、首都圏での観測例はほとんどなかった。新たな蜃気楼スポットとして期待する声が、愛好家の中から高まっている。
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千葉県九十九里町の海岸で7月22日午前、千葉県立中央博物館主任上席研究員の大木淳一さん(52)は、水平線付近に出現した「ミラージュ・ブリッジ」に気付いた。海面が反転し、空に橋が架かったように見える蜃気楼の一種だ。
猛暑で多くの海水浴客やサーファーが海遊びを楽しんでいたが、神秘の自然現象に気付いた人は皆無だった。大木さんは「もったいない」と思って、近くにいた人に教えて、しばらく一緒に眺めた。
蜃気楼は、温度が違う空気の層がある時、境界付近で光が屈折して景色が通常と違って見える現象だ。
九十九里浜では、1911年6月21日に物理学者の寺田寅彦が船上から陸地の方向に見えたというスケッチを残しているが、その後ははっきりした報告はなかった。
ところが2015年8月に、大…