2020年東京五輪・パラリンピックの暑さ対策として、政府・与党が検討しているサマータイム(夏時間)をテーマに、ITの研究者らでつくる情報法制研究所が2日、シンポジウムを東京都内で開いた。拙速な導入は見直すべきだ、との意見が相次いだ。
コーディネーターを務めた立命館大の上原哲太郎教授は「システム改修に4年は必要」。20年までの実施は不可能だと指摘した。
上原教授によると、国や自治体、企業、家電などの日本のITシステムには、欧米とは違ってサマータイムを想定していないものも多い。
日本時間をそのまま取り込んでいるシステムもあれば、「世界標準時+9時間」という処理をしているもの、手動で時間を設定しているものもある。これらのシステムは互いに接続しているため、調整には大規模な改修やテストが必要で2年では間に合わない、という。
IT企業にとって商機になる、との見方も一部にあるが、上原教授は「顧客からは(システムの通常の)運用コスト内での対応を求められ、IT企業は赤字になる可能性もある」と指摘した。
日本IT団体連盟専務理事でヤフーシニアアドバイザーの別所直哉氏は「サマータイムでITシステムに様々な問題が起こるのは容易に想像できる。大きな事故が起きるのではないかと正直みんな思っている」と指摘した。
さらに「IT人材は、足りない状態が続いている。本来ならイノベーションに使うべき彼らの貴重な力をサマータイム対応に費やすのか」と、疑問を投げかけた。
愛媛県八幡浜市の元職員で自治…