7月の西日本豪雨で5千棟以上が浸水した岡山県倉敷市真備(まび)町地区の市立小中高校9校が3日、豪雨から2カ月ぶりに授業を再開した。校舎が浸水被害を受けた5校はプレハブの仮設校舎を建設中で、完成するまでは他校の空き教室などの仮校舎で授業をする。
校舎の2階まで浸水した箭田(やた)小学校の始業式は、約10キロ離れた玉島小で開かれた。児童約270人は、6台の通学バスや保護者の送迎で登校した。
被災地のために今できること…西日本豪雨支援通信
西日本豪雨、列島各地の被害状況は
午前8時20分。通学バスが続々と玉島小に到着すると、バルコニーから玉島小の児童が「おはようございます」と大きな声で迎え入れた。箭田小の児童には少し緊張した様子の子もいたが、元気に教室に入った。
箭田小の大崎卓己校長は多目的ホールで開いた始業式で、「校舎が使えなくなったが、命の大切さや家族の絆、助け合うことの大切さを感じることができた」とあいさつした。
始業式に続き、体育館で玉島小の児童と対面。玉島小6年の笠原淳君が「笑顔いっぱいの玉島小です。よろしくお願いします」と歓迎すると、箭田小6年の安藤温佳(はるか)さんも「みんな仲良しの箭田小です。よろしくお願いします」と返した。
プレハブの仮設校舎は10月には完成予定で、それまで5校の児童・生徒は間借り先の学校に通う。
他校で再開した5校のうち、箭田小、川辺小、真備中によると、計約800人の児童・生徒のうち少なくとも計45人が転校した。市教委は「みなし仮設住宅など、新たな住まいからの通学が負担となり、転居先の近くにある学校を選んだのでは」と見ている。
真備町地区では7月6日から7日にかけて豪雨に襲われ、51人が亡くなった。(小沢邦男、華野優気)