手に入れるのが困難なコンサートチケットをめぐり、ネット販売サイトでチケットを買い占めるプログラムの実態が明らかになった。大量のアカウントを使い、人になりすまして購入手続きを繰り返すプログラムは、ロボットに見立てて「ボット」と呼ばれる。チケット販売会社などが長年対応に追われていた。取材を進めると、ある転売業者の存在が浮かび上がった。
5月12日土曜日の午前10時すぎ、大手販売サイト「イープラス」(東京)のシステム責任者、小西雅春さんは信じられない思いでパソコン画面を見つめていた。
この日は、同社がチケット購入の買い占めプログラムをチェックするシステムを導入後、販売が集中する初の土曜日だった。午前10時の販売開始と同時に複数の人気ビジュアル系バンドへの購入アクセスが集中。ほとんどがシステムにより買い占めプログラムとみなされ、購入手続きが無効扱いとなった。
コンサートで少しでも良い席を確保するためには、販売開始直後に販売サイトにアクセスする必要がある。買い占めプログラムは国内480カ所から一斉にアクセスし、人の操作をまねてクリックやキーボード入力をしていた。販売開始から30分、購入手続き約50万件のうち、9割の約45万件が買い占めプログラムによるものと見なされた。
あまりの多さに、小西さんは「検知ミスで一般のお客さんまで排除したと思った」。後日調べると、同一人物が作った約800個のアカウントを使い、480カ所から繰り返しアクセスして買い占めを図っていたことが判明した。
プログラムによるものか、人が…