観光客が増えている福岡県で、ホテルや旅館の利用客から「宿泊税」を徴収する動きが出始めた。福岡市では6日開会の議会に条例案が提出される。県も導入を検討しており、二重課税となる可能性もある。
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福岡市では8月末、議員提案の条例案が議会運営委員会に示された。観光振興に向け、市長は地方税法に基づいて宿泊税を課す、とした。課税額や対象は別の条例で定めるという。
議席の7割を超える5会派による提案で、可決される見通しだ。案をまとめた一人の松野隆市議(公明)は「一般財源は子育てや福祉にあて、宿泊税を観光整備に回したい」と言う。
福岡市で外国人観光客らの利用が多い宿泊施設の経営者は「宿泊料に上乗せとなれば価格競争に影響する」と懸念を示す。大手旅行会社の広報担当者は「金額が数百円なら旅行者が減るほどではない」と見る。
宿泊税には福岡県も前向きだ。導入に向けた有識者会議を7月に設け、2019年度に最終判断をする。県内の昨年の延べ宿泊者数は1806万人で、前年比1割増で過去最高。外国人が2割弱を占め、案内表示の多言語化や無線LAN整備が求められているという。
県と福岡市の双方が課税すると二重課税となる。高島宗一郎市長は「何のための税金か、納税者の納得がなければならない」と言う。小川洋知事は「宿泊者の負担感があり、自治体間で話し合う必要がある」と話した。
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