北海道の地震で甚大な被害が出た厚真町の現場では7日、前夜からの救出作業が続き、関係者らが見守った。余震があるなか、避難所に身を寄せた人たちには疲労の色が浮かぶ。
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北海道で震度7、道内の被害状況は
土砂崩れで住宅が倒壊した北海道厚真町の現場では、地元の消防隊員たちが数時間ごとに交代しながらスコップで土砂を掘った。自衛隊も、クレーンでがれきや土砂を撤去。真夜中の山中に、クレーンのきしむ音と発電機のけたたましい音が響いた。
同町吉野地区の現場では、行方不明者の親族とみられる男女3人が救出を待ち続けた。日付が7日に変わっても、建物の1階部分が特定できずにいた。胆振東部消防組合の隊員は「あぜんとするしかない」。
7日午前1時半ごろには救助犬も加わり、捜索が続いた。空が明るくなり始めた午前5時前には、消防隊員らが増員された。
午前8時半ごろ、1人が発見された。近づいて姿を確認した女性は、その場で泣き崩れた。そばにいた男性に震える肩を抱かれながら、土砂から救出される様子を無言で見守った。
同町の役場では、町職員のほか、自衛隊、消防、警察の関係者が頻繁に出入りした。6日深夜には「倒壊した住宅の下から足が見えている」と通報が入り、救助部隊が急行する場面もあった。
生存者の生死の境目は72時間とされ、幹部自衛官の一人は「とにかく全力で救助活動を続ける」と話した。
町によると、7日午前7時半現在、932人が7カ所の避難所に身を寄せている。余震が続くなか、不安な一夜を過ごした。
78人が避難する厚真中央小学校に7歳と8歳の娘2人を連れて来た尾形留美子さん(37)は「子どもたちも眠れなかったようだ」と疲れた表情を見せた。自宅近くのがけのひび割れが地震直後よりも進み、不安が募る。「家に戻っても、水も電気も通っておらず、なにもできない。ここにいるしかない」と話した。
町は食材を準備し、自衛隊と商工会婦人部などが避難所でおにぎり2千個を用意した。町総合福祉センターでは7日午前7時半から、自衛隊と町のボランティアが555人分のおにぎりとみそ汁を提供した。
1歳と2歳の息子2人と避難している渡辺佑美さん(33)は「小さい子どもはまだカップラーメンを食べられないので、おにぎりはありがたい」と話した。