北海道胆振地方で6日未明に起きた地震の影響で、札幌市内の公共交通機関は7日も運転を見合わせ、市民生活は混乱が続いている。再開を期待して駅などに集まった人たちは、再開のメドが立たないことを知り、途方に暮れた。
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北海道で震度7、道内の被害状況は
JR札幌駅。出張で札幌に来た千葉県柏市の会社役員の男性(46)は、運行の最新状況を知ろうと駅に来た。6日は予約していたホテルが停電で泊まれず、避難所となった市内の中学校で一夜を明かした。7日午前の飛行機を予約していたが、欠航に。新たに予約できたチケットは日曜の分だという。新幹線が復旧すれば新幹線で帰ることも考えている。「とりあえずどうしようか。考えないと」と疲れた様子で話した。
欧州から旅行に来たウィル・コーケさん(64)は、市内のホテルのロビーでほかの旅行客らと雑魚寝した。8日に欧州に戻るためには7日中に成田空港にたどり着かないといけないという。空港に向かうJR千歳線も運休のまま。「タクシーで空港に向かおうと思う」
札幌市中心部の大通公園。友人と2人で旅行に来ていた金沢市の女性(19)は午前6時40分過ぎ、始発時間に合わせて公園沿いにある新千歳空港行きバス停に来た。だが運休と知らされた。前夜は札幌大通高校の避難所で過ごした。「一日でも早く帰りたい」
北海道内の主要都市を結ぶ長距離バスも運休となっている。7日朝、大通公園近くの中央バス札幌ターミナルも閉鎖されていた。
午前7時半過ぎ、札幌市での研修から帯広市に戻ろうとしていた会社員男性(40)がターミナルの様子を見に来た。前夜は会社の宿直室で一夜を明かした。「会社にもう一泊できそうもない。まともなものを食べていないので、開いているコンビニを探すか、大通公園で時間を潰すか」と話した。
市民の頼みの綱はタクシーだ。円山公園付近の路上でタクシーをつかまえようとしていた会社員女性(32)は「電話で予約しようとしたら断られたので30分近く立っているが、空車が見つからない」と困り果てた様子。自宅に戻って自転車で通勤するという。
タクシー運転手の男性(70)は7日早朝から札幌市中心部で営業していた。6日は一日中市内を走った。「地下鉄もバスも走っていないので、お客さんが先を争うようにつかまえようとしていた」。売り上げはいつもの3倍。四十数年の運転手生活で初めてのことだという。7日も一日働くつもりだが、心配なのは、燃料のガスがあと30%しかないことだ。ガススタンドも停電で閉じているという。「タクシーもダメになったら大変なことになる」と顔を曇らせた。