直径6・5メートルの新たな大鍋「3代目鍋太郎」がお目見えした、山形市の馬見ケ崎川河川敷で16日にあった「第30回日本一の芋煮会フェスティバル」。芋煮を1万2695人に配って、ギネス世界記録に認定された。ただ、午後2時ごろには芋煮が足りなくなり、食べられずに払い戻しする来場客が続出。笑顔の少ない世界記録達成となった。
里芋3トン、牛肉1・2トン、コンニャク3500枚、ネギ3500本、しょうゆ700リットル、酒50升を投入した大鍋が煮え、大きな湯気が青空へ上がった。燃料のナラの間伐材も含め、どれも地元産だ。
潤滑油としてバターを塗った新品のバックホーがおたまとなる。小鍋へよそい、午前9時半に配食スタート。いち早く受け取った静岡県掛川市の中村善治さん(69)は前日午後6時に自宅を出て、午前7時半から並んだという。「5年ほど前からの念願がやっとかなった。鍋は全体が見えないほどだね」と喜んだ。
昼前には、大鍋前の土手は家族連れらでびっしり埋まった。ほぼ毎年来ているという山形市の会社員小林淳一さん(54)は持参の鍋にもよそってもらった。「鍋は変わっても変わらぬおいしさ。山形のおいしいものがどんどん広まって欲しい」と話した。
今回挑戦したギネス世界記録「8時間で最も多く提供されたスープ」はこれまで挑戦者がおらず、5千人以上に配れば認定される。午後2時までの配食で打ち切り、集計の結果、公式認定員が1万2695人と発表した。認定証を受け取った佐藤孝弘・山形市長は「山形の食文化である芋煮が世界に発信される。今後もさらに発信していきたい」と意気込んだ。
■「がっかり」500人払…