金魚の産地・奈良県大和郡山市の商店街に置かれていた作品「金魚電話ボックス」で著作権を侵害されたとして、福島県いわき市の現代美術作家が19日、大和郡山市の郡山柳町商店街協同組合などに約350万円の損害賠償などを求める訴えを奈良地裁に起こした。
原告は山本伸樹さん(62)。訴状によると、山本さんは1998年、電話ボックスを水槽に見立てて魚を泳がせる作品の原型を制作。遅くとも2000年12月ごろから作品を発表してきた。同組合などは14年、京都市にある芸術大の学生らが11年に制作した作品の部材を譲り受け、今回の作品をつくったという。
山本さんは、作品の構成や受話器から気泡を出す仕組みなど本質的な特徴が一致しているなどと主張。組合側に対し、著作権が山本さんにあると認めることなどを求めたが、組合側は応じないまま、今年4月に作品を撤去したという。
提訴後に会見した山本さんは「著作権を侵害されて泣き寝入りしている芸術家は少なくない。この問題を放置すると、後進にも悪影響がある」と語った。組合の宮沢秀典理事長(69)は「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。(加治隼人)