裁量労働制で働く人の労働実態を調べるための議論が20日、厚生労働省の有識者会議で始まった。政府は6月に成立した働き方改革関連法に裁量労働制の対象拡大を盛り込む方針だったが、同制度をめぐる調査結果への批判を受けて撤回。この会議を再び拡大をめざす第一歩と位置づける。ただ、先行きは不透明だ。
会議は調査手法を議論するためのもので、統計学や労働経済学が専門の大学教授ら5人と労使の代表者各1人の計7人でつくる。この日の初会合では正確で信頼性の高い結果を得るため、慎重に調査設計を進める考えで一致。次回から調査対象の選び方や質問内容などの具体的な議論を始め、年内にも手法を決める方針という。
裁量労働制は、実際に働いた時間に関わらず一定時間を働いたとみなし、残業代込みの賃金を払う制度だ。労働時間の規制を緩めるため働き手側には「長時間労働を助長する」との批判が根強い。ただ、経営者側は対象を広げるよう長年要望しており、安倍政権は働き方改革関連法に法人向け営業職などへの対象拡大を盛り込む方針だった。現状は研究開発職やデザイナーなど専門性の高い19業種か、企業の中枢で企画・立案などの仕事に就く人が対象だ。
だが、法案づくりの参考にされた厚労省の労働時間調査に大量の異常データがあることが法案提出前の国会審議で発覚。調査は裁量労働制で働く人や一般労働者の労働時間などを調べたもので、不適切なデータ比較から裁量労働制で働く人の労働時間が「一般労働者より短いというデータもある」とする安倍晋三首相の答弁にもつながった。この混乱で安倍政権は2月、法案から対象拡大を削除した。
それでも、政府は対象拡大をめ…