「もっと贈りたい」。将棋の菅井竜也王位(26)は願う。7月上旬、西日本を襲った豪雨で甚大な被害が出た岡山県倉敷市に日本将棋連盟は義援金を贈った。それでも「もっと」と菅井は願う。7~9月は王位防衛戦の真っ最中だが、9月1日には名古屋市での「西日本豪雨災害支援チャリティー将棋フェスティバル」に出演した。岡山市出身・在住の菅井がお隣の倉敷も大切に思うのは、「自分の原点」があるからだ。
倉敷市は昔から囲碁、将棋と縁深い。奈良時代、中国から囲碁を持ち帰ったと伝えられる吉備真備(きびのまきび)ゆかりの地・倉敷市真備(まび)町では囲碁大会が続く。将棋の大山康晴十五世名人(1923~92)は倉敷市西阿知町の生まれ。名人18期、王将20期などの偉業をたたえ、没後翌年、倉敷川沿いに大原美術館などが点在する観光地「美観(びかん)地区」の近くに倉敷市大山名人記念館ができた。「子ども教室を開いて欲しい」。生前の大山が記念館の運営に関し、ただ一つ出した要望だったといい、開館当初から小中学生を対象とした将棋教室が続く。
5歳で将棋を覚えた菅井は、小…