米軍普天間飛行場の名護市辺野古への移設の是非が問われる沖縄県知事選の投開票まで、23日であと1週間に迫った。安倍政権の支援を受ける佐喜真(さきま)淳氏(54)と、翁長雄志(おながたけし)知事の後継の玉城デニー氏(58)の陣営は舌戦を繰り広げた。戦いぶりは対照的だ。
【特集】沖縄知事選
沖縄はいま
「沖縄のみなさん、こんにちは。来るのは1週間ぶりです」。23日、那覇市の県庁前。自民党の小泉進次郎・筆頭副幹事長が佐喜真氏の隣でマイクを握ると、笑いが起きた。知名度抜群の小泉氏が、地方選の応援にこれほど頻繁に入るのは異例だ。
陣営の戦術は、安倍政権や推薦を受ける自民、公明などの幹部らが次々と街頭に立つ「有名人作戦」だ。菅義偉官房長官は告示後だけで2度沖縄入りして応援演説。元沖縄担当相の小池百合子都知事も22~23日、県内を遊説した。陣営関係者は、佐喜真氏と並んで立つことで「生活支援や振興策といった政策に説得力を持たせられる」と語る。
対する玉城氏の陣営は、党派色を消す作戦を徹底する。県外の野党国会議員と玉城氏はほとんど街頭で並ばず、集会では労組ののぼりや「安倍政権打倒」などと書かれた旗を下ろしてもらう場面も目立つ。
狙いは、革新色を抑え、辺野古移設への反発を党派を超えて結集することだ。玉城氏は23日の那覇市でのイベントで、政党名には触れなかった。22日の集会では翁長氏の妻樹子(みきこ)さん(62)が「ウチナーンチュ(沖縄の人)の心をすべてさらけ出して、勝利を勝ち取りましょう」と訴えた。陣営関係者は「沖縄のアイデンティティーを再び呼び起こす」と話す。(山下龍一、伊藤和行)