親が育てられない子どもを匿名で預ける「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)を運営する慈恵病院(熊本市西区)が、特別養子縁組のあっせん事業を始めることがわかった。同病院によると、すでに事業に必要な許可を市から受けており、2019年初頭から始めたいとしている。
特別養子縁組は、実の父母との関係を断って、養父母と子が戸籍上も完全に親子となるもので、原則6歳未満の児童が対象。児童相談所や民間のあっせん団体を通じて養父母に引き取られる。しかし、営利目的であっせんするケースも過去にあったことなどから、民間の事業者は従来の届け出制が今年度から都道府県・指定市の許可制になり、経営状況を示す書類を毎年提出する必要などがある。厚生労働省によると、今年4月1日現在、NPOや医療法人など全国で計29団体が登録されている。九州・山口では慈恵病院のほか3団体がある。
蓮田健副院長によると、「ゆりかご」に預けられた場合は熊本市の児童相談所に特別養子縁組を含めて養育先を探してもらっている。同病院で生まれて実親が育てられない場合は主に埼玉県内の団体にあっせんしてもらっていた。この団体は、養親に経済的負担をかけず、実親が出産後に自分で育てると翻意した場合もその決断に寄り添う姿勢があったという。だが、この団体が活動をやめることを決めたため、「思いを継ぎたい」と自らあっせんに乗り出すことを決断したという。当面は、同病院で生まれた子どものみを対象にする予定だという。(柴田菜々子、大畑滋生)