京都大学は1日午前、学生寮「吉田寮」(京都市左京区)の玄関に、学生の退去を求める通告書を貼り付けた。「10月1日以降に吉田寮に居続けることは不法占有となる」と警告している。
築105年の吉田寮の老朽化対策をめぐっては、耐震性を理由に9月末までの退去を要求した大学側に対し、学生の寮自治会が反発して対立が続いている。
大学側は1日午前11時ごろ、吉田寮に「退舎通告」を貼った。「まだ吉田寮を退舎していない学生諸君は、直ちに退舎するよう通告する。なお、本年10月1日以降に吉田寮に居続けることは不法占有となる」と書かれている。
寮自治会の学生らは取材に対し、「話し合いが中断している中で、一方的に(通告書を)持って来られても困る。まずは話し合いをしたい」と訴えた。自治会によると、吉田寮には1日時点で100人以上が残っているという。
吉田寮について、京大は昨年12月、今年1月以降の新たな入寮を禁止し、今年9月末までの退去を求める基本方針を公表。吉田寮自体は廃寮とせず、寄宿舎として再開すると説明している。これに対し、寮生の間には「退去後に、歴史的にも文化的にも価値のある建物が取り壊されるのでは」との不安が広がっている。(徳永猛城、向井大輔)