今年のノーベル医学生理学賞は、免疫の仕組みを利用した、新たながん治療薬の開発につながる研究をした2人に決まった。そのうちの1人が京都大学特別教授の本庶佑(ほんじょたすく)さん(76)。27年前に見つけた「なぞの分子」がきっかけだった。2人の研究がそれぞれ「免疫チェックポイント阻害剤」となり、皮膚がんや肺がんなどの治療に広く使われるようになった。
本庶さん、がん治療「第4の道」導く 衝撃の新薬に結実
【特集】ノーベル医学生理学賞の受賞が決まった本庶佑さん
新たながん治療開発のきっかけになった「PD―1」という分子は、元々はまったく別の研究をしていて見つけた。当初予想していたのとは違う「なぞの分子」だった。
帰りの湘南電車の中で思いついた大発見 本庶佑さん
本庶佑さん「小さいころは、天文学者になりたかった」
京都大の本庶研究室の助手だった石田靖雅さん(現奈良先端科学技術大学院大学准教授)が1991年に発見し、翌年論文を発表した。
石田さんらは細胞が自ら死を選ぶ「アポトーシス」という現象に関わる遺伝子を探していた。本庶さんたちは当初、見つかったこの分子が、細胞死をひき起こすと考えた。予定(プログラム)された細胞死(デス)の頭文字から「PD―1」と名付けた。だが、何度実験しても、細胞は死ななかった。
「決着するまでやろうやないか…