歌手で農場長、そして地域プロレスのレスラー。NHK紅白歌合戦に出場した「nobodyknows+(ノーバディーノウズ)」のノリ・ダ・ファンキーシビレサスさん(38)には三つの顔がある。19日の試合を最後に、レスラーを引退する。「全盛期のうちに辞めたかったので悔いはない」と晴れやかだ。
ノーバディーノウズは名古屋が拠点のヒップホップグループで、1999年に結成。2004年の紅白では「ココロオドル」を歌った。一方で、ノリさんは「自分が愛知で、おいしい野菜を作る」と、愛知県長久手市の「Taskファーム長久手農場」で農場長を務める。約3万平方メートルの畑でほぼ毎日、減農薬野菜の栽培に汗を流し続けている。
10年1月、生まれ育った名古屋市千種区の今池商店街に「今池プロレス」が発足。旗揚げ興行でゲスト解説を務め、飛び入りで参戦した。
子どものころから、新日本プロレスで「闘魂三銃士」と呼ばれたプロレスラーの武藤敬司、蝶野正洋、橋本真也の各選手らの大ファンだった。リングに上がったことをきっかけに、「大好きなプロレスをたくさんの人に見てもらうため、自分でもやろう」と思い立った。
今池プロレスに所属し、音楽活動や農業の合間を縫いながら、体力作りや受け身などのトレーニングを積み、この年の5月にレスラーとしてデビューした。
得意技はバックドロップ
バックドロップや、羽交い締めの一種のフルネルソンバスターが得意。今池プロレスでの興行のほか、毎週水曜日には名古屋市中区千代田3丁目のスポーツバー「スポルティーバアリーナ」で、得意技を披露してきた。17年には川崎市の団体「HEAT―UP」での試合に参戦し、チャンピオンベルトを奪取したこともある。
約8年間のレスラー人生は勝ったり負けたりの繰り返し。プロレスは農業に似ているという。「自分の思い通りにはならない。でも、そこが楽しい」
農業や歌手は、長く続けられる。でも、プロレスは体が動かなくなったら、できなくなる。元気なうちに退こうと考えていた。「後輩たちに最後まで全力で戦う姿を見せたい」といい、声援を送ってくれたファンには「本当にありがとう。みんなの力で名古屋のプロレスを盛り上げてほしい」と話す。
引退試合の「愛プロレス博2018~紡ぐ~」は19日午後7時から名古屋市中区新栄2丁目の「クラブダイヤモンドホール」で。問い合わせは、スポルティーバエンターテイメント(052・332・6866)へ。(松永佳伸)