「まだまだ勝手に関西遺産」
ヘルメット着用、ガイド同伴で神秘の世界へ。奈良県天川村には、間違いなく頭を2、3回打つ鍾乳洞があります。その発見の経緯を取材すると、実に感動的なドラマでした。
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探検好きの知人が「川口浩探検隊ばり。こんな面白いところが関西にあったなんて!」とSNSに投稿していた。嘉門達夫のあの名曲が頭をよぎる。
そこは奈良県天川村洞川(どろがわ)にある五代松(ごよまつ)鍾乳洞。まずヘルメットをかぶり、爆音のエンジンをならす林業用の4人乗り「モノレール」で急斜面を6分間上がる。ガイドの田井中良一さん(60)が勝手口サイズの鉄の扉を開け、「入り口から2メートルは1人分の幅。しゃがんで歩いて」と先導する。もう歌うしかない。
くぐり抜けると、世の騒がしさを遮断する神秘的空間が広がる。上から垂れる鍾乳石や下から伸びる石筍(せきじゅん)、上下が連結した石柱には「下半身の柱」「子育て観音」「象の鼻」などと名前が付けられている。田井中さんの説明を聞くと、確かにそのように見える。奥行き80メートルの中は、悠久の自然とエンターテインメント性を包含する。
ここに至るまでには、ある家族…