フランスのマクロン政権が16日、内閣を改造した。マクロン大統領の腹心だったコロン前内相が政権を去って2週間。側近で与党「共和国前進」党首のカスタネール氏(52)がようやく後任に決まった。改造では入閣の打診が断られるなど、マクロン氏の求心力の低下が浮き彫りとなった。
カスタネール氏は、2016年にマクロン氏が大統領選に立候補を表明した時から支えてきた数少ない側近で、政権発足直後は報道官を担った。内相は治安や移民政策を担う要職だが、コロン氏の辞任以来、フィリップ首相が兼務する異例の事態が続いていた。
改造では、文化相や農相など主要閣僚4人を入れ替えた。仏紙フィガロなどによると、中道右派のシラク政権で農相を務めたビュスロ氏や、社会党員で前首相のバルス氏に近いクラン氏に入閣を打診したが、いずれも固辞されたという。
マクロン氏は16日夜、国民向けテレビ演説で「私の態度や率直な物言いを不快に思う人もいたかもしれない。批判は聞こえている」と語りかけた。コロン氏に「謙虚さ」が足りないと指摘され、支持率が30%前後に低迷するだけに低姿勢を強調。「私の羅針盤は、大統領選の時にみなさんからもらった信頼だけだ」と改めて支持を呼びかけた。(パリ=疋田多揚)