千葉・幕張で16日から一般公開が始まったIT(情報技術)などの見本市「シーテック」で、金融業界から出展した三菱UFJ信託銀行のブースに、特別なスポーツシューズが展示された。ITベンチャーがアシックスと共同で開発し、靴底にはセンサーが内蔵されている。歩数や歩幅、左右の足運びのリズムなど、履いている人の運動情報を収集できる。
同行では11月、行内外の約1千人にこのシューズを1カ月間履いてもらう計画を進めている。集めた個人データを「銀行」のように預かって、企業に貸し出し「運用」し、「利子」のように対価も得る。いわゆる「情報銀行」の実用化に向けた実証実験だ。
シューズを通じた運動データのほか、移動履歴、健康診断の結果、資産といった個人情報を集め、情報はスポーツクラブや保険会社などの企業に提供。各社は情報をビッグデータとして分析、新たな運動プログラムや保険商品の開発に役立てる――。情報銀行の役割を果たす三菱UFJ信託はそんな未来像を描く。
担当者は「(情報提供先などで)複数の会社と交渉を進めており、来年度中に実用化したい」とする。
ただし、どんな個人情報をどの企業に提供するかを決めるのは、あくまで本人だ。三菱UFJ信託の場合、独自開発したスマートフォン向けのアプリで、個人が自ら提供先などを選べるようにする。情報提供に協力してもらうため、提供先の企業からサービスやポイントなどの還元を受けることが想定される。
情報銀行には、三井住友銀行などのメガバンクやITベンチャーなど、多様な業種からの参入表明が相次いでいる。
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