乗務員が使った懐中時計や新幹線の部品などを販売するJR東海公式のウェブサイト「JR東海鉄道倶楽部」が今月、開設1周年を迎えた。廃棄する部品を工場などで売っていたが、より買いやすくしようと昨年10月からネット販売を始めた。抽選倍率が185倍の人気グッズもある。
テツの広場
JR東海はもともと、リニア・鉄道館(名古屋市港区)や浜松工場(浜松市中区)で、ひざかけや銘板などを販売していた。ただ、買えるのは現地を訪れた人だけ。新幹線の座席は持ち帰るのに手間がかかるなど、ファンから不満の声も寄せられていた。
JR東海でサイト運営を担当する事業推進本部が2016年、管内の沿線地域の特産品を紹介する通販サイト「いいもの探訪」の開設を準備していた。そのとき、鉄道部門から「せっかくなら鉄道の部品も通販できないか」と話が持ちかけられた。そこで、構築したシステムを生かして鉄道倶楽部のサイトも設けることにした。
反響は予想以上だった。初回は先着順で販売。わずか2日で24種類400点が売り切れた。今年1月末の第2回販売からは抽選制にした。新幹線の乗務員が懐中時計が正確な時刻になっているかを確認するために使う「標準時計」(送料込みで3万5千円)は、最高で185倍の倍率になる人気ぶり。今秋まで8回販売を実施し、延べ約110種類2300点が売れた。
通販サイトとイベントを結びつける試みも始めた。今年9月に浜松工場で開かれたイベントで鉄道倶楽部のブースを出店。Tシャツの一般販売に加え、来場者しか通販サイトで購入できない方法も採り入れた。東京・日比谷公園で今月6、7の両日あった第25回鉄道フェスティバルでも同様のブースを設けた。
新たな掘り出しものがないか探すため、今月16日、事業推進本部の宍戸聡朗(としあき)さん(38)がリニア・鉄道館を訪れ、天野満宏館長(60)らと倉庫に眠る鉄道グッズを確認した。「鉄道ファンにとっては好きでたまらないものばかり」(宍戸さん)で、新幹線0系の銘板や100系の食堂車の部品など候補は複数挙がっている。天野館長は「我々は鉄道の歴史を残す使命がある。多く残っていて、お渡しできるものがあれば協力したい」と話した。
鉄道倶楽部は不定期に鉄道グッズの販売をしている。11月にはオリジナル年賀状を売り出す。詳細は鉄道倶楽部のサイト(
http://e-mono.jr-central.co.jp/traingoods/
)。(江向彩也夏)