ロシアが一方的に併合したウクライナ・クリミア半島の学校で17日に起きた銃乱射事件で、容疑者とみられる同校の男子生徒(18)は、正式な手続きを経て銃を入手後、1カ月あまりで犯行に及んだとロシアメディアが報じた。ロシアメディアによると、男子生徒は事件の数日前に実弾約150発を入手し、手製の爆発物も用意したといい、計画的な犯行だったとの見方が強まっている。
事件は17日正午ごろ、クリミア半島東端ケルチの技術学校で起きた。ロシアメディアによると、男子生徒は校内で銃を乱射し、手製の爆発物で食堂を爆破した後、銃で自殺したとみられる。男子生徒の乱射で、同日夜までに18人が死亡し、10人以上が重体になっている。死傷者の大半は10代後半の同校生徒という。
ロシアのノーボスチ通信によると、男子生徒が使ったのは狩猟用の散弾銃で、男子生徒は書類審査や精神科医による診断を経て、正式な所持許可を得ていたという。ロシア国営放送は、男子生徒が9月8日に銃を入手し、犯行の数日前に実弾約150発を入手していたと伝えた。
プーチン大統領は17日、ロシア南部ソチで開いたエジプトのシーシ大統領との共同会見で事件に触れ、シーシ氏と犠牲者を悼んで黙禱(もくとう)した。モスクワでも市民が献花するなど、社会に衝撃が広がっている。
クリミア半島の併合をめぐってロシアと対立するウクライナのポロシェンコ大統領も17日、「子どもや親しい人を失ったウクライナ国民に哀悼の意を表する」「どこであろうと、ウクライナ国民の死は悲劇だ」とする声明を発表。クリミア半島はウクライナ領であり、犠牲者はウクライナ国民だと強調した。(モスクワ=石橋亮介)