内戦下のシリアでイスラム過激派組織に拘束され、解放されたフリージャーナリストの安田純平さん(44)は、7月にネット上で公開された映像のなかで、「私はウマルです。韓国人です」などと話し、臆測を呼んでいた。その真意について、安田さんが帰国フライトの中で取材に語った。
安田純平さん、拘束から解放までの経緯
動画は7月31日にネット上で公開。約20秒のなかで、オレンジ色の服を着た安田さんは「私の名前はウマルです。韓国人です」「とてもひどい環境にいます。今すぐ助けてください」と、かすれた声で訴えていた。背後には銃を持った覆面姿の男2人が立っていた。
「自分の本名や日本人であることは言うなと要求されていた」。安田さんは25日、帰国のために搭乗したトルコ航空機内で、記者にそう理由を説明した。
「他の囚人(監禁被害者)が、釈放された後に『あそこにニュースで出ている人質の日本人がいる』と言われたら、私の監禁場所が世間にばれて(犯行グループが)攻撃されるかもしれない」と説明。そのため、「『韓国人だと言え』と言われた」といい、従ったという。
「ウマル」というイスラム教徒の名前を名乗ったことについては、犯行グループから本名を名乗るなと言われたため、自ら察して答えたという。(下司佳代子、井上亮)