9月の台風21号で被害を受けた大阪市立大理学部付属植物園(大阪府交野市)の復旧が進み、11月1日から一般公開の区域が大幅に広がる。被害を逆手にとって、台風で倒れた巨木の根をそのままにして間近で観察できるようにした。
園によると、台風で園内の樹木400本以上が倒れるなどした。敷地約26万平方メートルのうち公開範囲を5分の1に限っていたが、3分の1まで広げる。残る部分については再開の見通しが立っていない。
再開の目玉は、倒れたままの木々だ。台風で倒れ、地上に現れた樹高40メートルのユリノキの根は、高さ5メートル。大人をわしづかみにする巨大な手指のようだ。間近に見ると大小の根が複雑に絡まっていたのがわかる。
自然の樹形を残そうと手入れを最小限にしているため、根も巨大になる。巨木が倒れた場所では、若木が伸びるなど森の復元がこれから始まるという。山田敏弘園長は「被害は残念だが、普段は見られない木の姿があちこちにある。自然界で起きているはずの森の再生を身近に観察できる機会になっている」と話している。
公開が再開されるエリアには、国内の様々な木々が約300メートルの道沿いで一覧できる「日本産樹木見本園」もある。11月17日からは40種類のカエデ山も公開され、紅葉が期待できる。入園料は大人350円、中学生以下は無料。月曜日休園。問い合わせは同植物園(072・891・2059)。(波多野陽)