高校生が市長に……? ゲームアプリをつかって高校生が市職員とともにまちづくりに挑む「シムシティ課」が宮崎県小林市役所に登場した。ゲーム上で市長となった高校生たちに理想の小林市を自由に描いてもらい、「わがまち」への関心を高めてもらう全国的にも珍しい試みだ。
「幼稚園建てよう」「警察は町の中心にあったほうがいい」「住民から不満出てるよ」。10月下旬の小林市の県立小林秀峰高校。生徒たち数人が1台のスマートフォンを操作しながら、ああでもない、こうでもない、と会話している。休み時間のようにも見えるが、商業科と経営情報科の生徒31人が学ぶ、れっきとした授業。教室内には数人の市職員の姿も。時おり生徒たちの話の輪に加わっていた。
小林市役所に10月に設置された「シムシティ課」。高校と連携し、親しみのあるアプリゲームを教材にして生徒たちにまちの未来を考えてもらうのが同課の仕事だ。同校では「総合的な学習の時間」を使い、貸し出されたスマホを操作してゲームを進めている。
使うのはスマートフォン用ゲームアプリ「シムシティ ビルドイット」。提供元は米ゲームソフト大手のエレクトロニック・アーツ社。東京都足立区でシムシティを使った小学生向けのワークショップを開くなど教育への活用に取り組んできたが、地方での活用先を探していた。
同社が白羽の矢を立てたのが、フランス語に聞こえる西諸弁の移住促進PR動画「ンダモシタン小林」で全国的に注目を集めた小林市。学校の学習プログラムとして活用されるのは全国初という。
「シムシティ課」には各課から集まった約20人の職員が所属するが、庁内に正式な部門としての課の部屋があるわけではない。「『シムシティ課』は言わばプロジェクト名で、小林秀峰高校の生徒と市役所職員でつくるバーチャルな課です」と担当者。職員らは高校生のサポート役を担う。
同課には生徒たちも「配属」されている。オリジナルのシャツや名刺、バッジが配られ、今後予定されている校外での聞き取り活動や他県での成果発表の場などで活用されるという。
授業では、さまざまな住民にと…