ドローン(小型無人飛行機)を使って、注文した弁当を約700メートル離れた公園へ運ぶデモンストレーションが1日、愛知県豊田市稲武町で披露された。将来、農産物や飲食物の輸送に利用しようと計画している稲武商工会が楽天の協力を得て実施した。
紅葉の名所、大井平公園で、大村秀章知事がスマートフォンの専用アプリを操作して弁当を注文。旅館から1個500グラムの弁当2個を積んだドローンが飛び立ち、高度約140メートルまで上昇して山を越えた。5分ほどでモミジに囲まれた公園の広場へ到着した。ドローンは操縦する必要がない、あらかじめ設定されたコースを進む「完全自律飛行」。大村知事は「弁当の中身も崩れていないし、違和感もない。さらに実証試験を重ね、課題をクリアしていって欲しい」と話した。
同商工会は、災害対策のほか、観光業の振興のためドローンの活用を考えており、昨年末、初めて輸送の実験をした。将来、標高約900メートルの山頂にいる観光客へ弁当や飲料水を配達したり、直売所がある道の駅へ採れたての果物や野菜を運んだりする構想もある。担当者は「技術的には問題がない。他とは違う観光地としてアピールするため、法規制が緩和されればすぐにでも実施したい」と話している。
楽天によると、ドローンを使った商品の輸送は、福島県南相馬市などで試験運用の実績がある。(臼井昭仁)