医師不足などの地域で将来、一定期間働く条件がある大学医学部の地域枠学生について、厚生労働省は、一般学生と別枠で選抜する方式に限ることを決めた。地域枠学生の確実な確保が狙い。臨時的に認めている医学部の増員分が対象で、都道府県に10月25日に通知し、2020年度以降の入学者から対応を求める。
医学部定員は国が上限を決め、08年度から地域枠用の臨時増員が認められている。だが、厚労省の調査では、増員分の1割超の学生が、都道府県が貸す奨学金を受け取っていないことが判明。返済免除を条件に地域で働いてもらう仕組みなので、厚労省は奨学金の貸与がなければ、地域枠に当てはまらないとしている。
入学選抜は一般枠と共通で、地域枠に入る学生を募る「手挙げ」は、一般枠とは別に選抜する「別枠」よりも奨学金を貸与される人の割合、地域への定着率とも低い。このため、厚労省は、都道府県が策定する医療計画に記載する必要がある増員分の地域枠の人数は、別枠方式に限り、事前に各大学と書面で合意することとする。
地域枠の問題をめぐっては、医師偏在の是正を求める自民党の議連(河村建夫会長)が24日、決議文をまとめ、文部科学省にも大学への指導を求めている。(阿部彰芳)