2年連続の日本一に輝いたソフトバンクホークス。シーズン2位から日本シリーズを制し、工藤公康監督には、熊本地震で被災した子どもたちとの約束を果たす連覇となった。
工藤監督は、東日本大震災や九州北部豪雨などの被災地と交流を続ける。熊本県西原村唯一の少年野球チーム「西原村学童野球クラブ」を初めて訪れたのは2017年1月。畑と森に囲まれた急造グラウンドのことを知ったからだ。
16年4月の熊本地震の本震では、村で震度7の揺れが起きた。災害関連死を含め9人が亡くなり、512棟の建物が全壊。今年9月末現在でも250世帯近くが仮住まいで生活を送る。
チームが練習していたグラウンドは、地震で発生した廃材などの置き場所に。現主将の山内愁(しゅう)君(12)も、慣れない車中泊やビニールハウスでの寝泊まりを余儀なくされ、夜に涙を流したこともあった。「普段、野球をする仲間たちと会えなかったことも大きかったと思う」と母親の直子さん(42)。
「練習できずに試合して負け、悔し涙を流すのを見ていられんかった」。山内君の祖父、山下一義さん(68)が、ハクサイやニンジンをつくっていた畑を埋め、保護者らが土をならしてグラウンドに仕立てた。土の代わりに砂を入れ、マウンドも作り、打撃練習のケージは、切り出した竹にネットを張った。およそ120メートル×60メートルの「畑グラウンド」が、夏前にはできあがった。
西原村を訪れた工藤監督は「こ…