眼下に桜島と錦江湾が広がり、対岸には開聞岳を望む。そんな大隅半島からの絶景を見渡せる鹿児島県鹿屋市浜田町の丘の上に、米国の作家ヘミングウェーの邸宅をモデルにしたプライベートライブラリー(私設図書館)がオープンした。憧れの文豪へ思いをはせる小説家、郷原茂樹さん(75)の夢がつまったものだ。
ライブラリーは「大隅半島芸術村 みなみ風図書館」。郷原さんは鹿屋市を拠点に「東京友禅」「奄美物語」などの小説や詩集を出版する傍ら、地域サークル「大隅半島カルチャーロビー」を結成して地域の文化活動を支援してきた。地元特産の唐芋(からいも)(サツマイモ)を使った菓子を販売する「フェスティバロ」の創業者でもある。
郷原さんはノーベル賞作家のヘミングウェーに憧れ、1999年、米フロリダ半島の先端にあるキーウェスト島に残るヘミングウェーの邸宅を訪れた。海の近くに立つ木造2階建ての建物は、どの窓も縦長の長方形の上部が丸く弧を描き、緑色の格子戸が左右に開いていたたたずまいが印象的で、ヘミングウェーの息づかいが聞こえてくる気がした。
瀟洒(しょうしゃ)で見ほれるほどの風情に、大隅半島にもこんな「ヘミングウェー・ホーム」を建てたいという思いがこみ上げたという。
大隅半島に憧れの大作家の邸宅…