冬の味覚、ズワイガニの漁が6日、北陸や山陰の日本海側で解禁された。研究機関は資源調査に基づき、今年は昨年並みの水揚げが期待できるものの、来年以降、資源量が減り、3年後には今年の2分の1程度まで激減すると予測する。ズワイガニの「少子化」が原因とみられている。
日本海域の水産業に関連した調査研究をする日本海区水産研究所(新潟市中央区)は水産庁の依頼で今年5、6月、能登沖から山陰沖までの137調査地点でズワイガニの資源量を測定した。国の基準で漁獲可能(オスは甲羅幅9センチ以上、メスは卵を産む成熟個体)な大人のカニは例年並みの数が測定されたが、未成熟の稚ガニの数は極めて少なかったという。石川県水産総合センターによると、オス、メスともに漁獲可能になるには7、8年かかる。
「稚ガニの数は過去20年で最低だった。なんらかの理由で幼生段階での死亡率が高いようだ。4、5年先までは厳しく、その先はわからない」と同研究所の上田祐司・資源生態グループ長は話す。
同海域のズワイガニの資源量は2016年から増加しているが、18年の約2万2千トンから、20年に約1万5千トン、21年には約1万2千トンまで減ると、研究所は推定している。
各地の底引き網漁業者の団体は、国の基準以外にも漁獲制限や漁期短縮など資源保護のため自主的な規制をしてきた。石川県ではメスガニの漁期を2カ月弱に限るなどの手立てをとっているが、県漁協の田渕一茂専務理事は「さらなる規制が待ったなしの状況だ。それも日本海側で広域連携しなければ意味がない」と危機感を隠さない。
同県加賀市を拠点とする底引き網漁船船長の男性は「どうすることもできねえが、カニがいなくなったらオレらはたちゆかねえ」。(塩谷耕吾)