名古屋城天守木造化を巡り、名古屋市は2日、「建設計画を必要に応じて見直す」との方針を市の有識者会議「石垣部会」に示した。江戸時代から残る石垣を傷めると判断した場合、別の工法などを検討するという。石垣の保全を重視する同部会から木造化計画の了承を得られておらず、市が歩み寄った。
【特集】名古屋城
市が計画しているのは、木造新天守を支えるコンクリート構造物を、天守台石垣の内側に埋め込む工法。これには石垣上部を外す必要があるが、石垣部会の千田嘉博委員(奈良大教授)から「歴史的な構造を破壊し、史跡整備の原則から離れている」と強い反対を受けていた。市はこれまで「天守台上部に歴史的な石はない」とみていたが、今回、「江戸時代の石が残っている可能性が高い」とする調査結果を示し、方針を転換した。
市は10月中に文化庁から木造化の許可を得る予定だったが、石垣部会の了承を得られず、断念した。2022年末の完成を目指す河村たかし市長は、「文化財石垣保存技術協議会」(事務局・兵庫県姫路市)の助言を求めるなどして、石垣部会との関係改善を図る考えを示している。(関謙次)