信号機のない横断歩道を歩行者が渡ろうとしています。車を運転するあなたはどうしますか――。こうしたケースで一時停止しない車などによる「歩行者妨害」の検挙件数が増えている。昨年は全国で過去最多の約14万5千件を記録。今年も昨年を上回るペースで増えている。
「ピッピッピッピッ」。北九州市戸畑区内の国道199号。9月のある朝、信号機がない横断歩道で福岡県警が取り締まりをした。警察官は歩行者が横断する際に笛を吹き、棒で車に一時停止を促す。大半の車は停止したが、無視して通り過ぎる車もあった。
取り締まりは通勤時間帯の午前7時から1時間半。この間にドライバー13人に対して、道路交通法違反(横断歩行者妨害)の疑いで青切符(違反点数2点、反則金は普通車で9千円)が切られた。歩行者が横断歩道を渡ろうとしていたにもかかわらず一時停止しなかったためだ。
違反者からは戸惑いの声も漏れた。軽乗用車を運転していた北九州市の男性(45)は「渡っている人がいたら止まるけれど、渡る前でも止まらなければならないとは思わなかった」。別の軽乗用車を運転していた女性(60)は「横断歩道を渡り始める動作がない限り、いったん停止するのは難しいのではないか」と話した。
■検挙は14万…