「腕を前から上に……イッチ、ニ、サン、シ」。毎日午前6時半、NHKラジオからおなじみの掛け声が流れる。ラジオ体操が始まって、今年で90年。早朝のひととき、雨でも雪でも決まった場所に集まり、共に体を動かす人たちがいる。(山根久美子)
「聖地」の大阪城に500人
大阪市中央区に住む常原伊三夫(いさお)さん(73)の朝は早い。午前3時ごろに起き、4時半には大阪城へ。天守閣前の本丸広場で、スピーカーや出席カードに押すスタンプを準備する。常原さんは大阪城ラジオ体操会の5代目会長だ。
午前5時50分。1級ラジオ体操指導士として前に立ってお手本を見せる日もある常原さんは、約100人の参加者とストレッチを始めた。続けて録音テープでラジオ体操第1、第2、第3などを繰り返し流す。
午前6時25分。広場を埋め尽くした参加者は、ざっと500人を超えた。NPO法人全国ラジオ体操連盟によると、実施会場としてホームページに登録されている全国約1900カ所の中でも、参加者数はトップクラスだ。
そして午前6時半。スピーカーから聞き慣れたピアノの旋律が流れ、ラジオ体操が始まった。跳躍すれば、ザッザッ。太ももをたたく運動では、バシッバシッ。500人の動きがそろい、音が響き渡る。
約10分後に放送が終わると、大半の人が広場を出て行った。
ラジオ体操と「同世代」の川口…