「他の立候補国も強力な誘致活動を繰り広げており、決して予断を許さない極めて緊迫した状況だ」。2025年万博の大阪誘致について菅義偉官房長官は10月24日の会見で、こう警戒感をあらわにした。開催地決定が迫り、誘致活動は過熱している。
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25年万博の開催地は、23日にパリで開かれる博覧会国際事務局(BIE)の総会で、加盟170カ国の投票で決まる。立候補しているのは日本とロシア、アゼルバイジャンだ。
各国の動向を分析する外務省は、日本への支持は着実に増えているとみる。ただ、過去の投票ではもつれるケースも少なくない。
今回の投票は、初回の投票でいずれの国も3分の2に達しなければ、最下位の国が脱落し、上位2カ国による決選投票が実施される仕組み。10年万博では5カ国が立候補し、3回目までの投票でいずれの国も3分の2を獲得できず、4回目の決選投票で中国(上海)に決まったこともある。
日本政府内では、今回も決選投票にもつれ込むという見立てが支配的だ。外務省幹部は「2カ国とも手ごわい。総会直前はパリに張り付いて各国に働きかける」と話す。
ライバルたちは、それぞれに「強み」を持つ。ロシアとアゼルバイジャンに共通するのは「万博初開催」。この点をアピールし、開催経験のある日本との差別化を図っている。
ロシアの開催予定地は、ウラル…