初出荷を迎えた佐賀県の新しいイチゴ「いちごさん」が15日から、JAさがの「さが風土館季楽(きら)直販本店」(佐賀市大財3丁目)で販売されている。試食した買い物客らは「甘くておいしい」と目を細め、誕生したばかりの真っ赤なイチゴが入ったパックを手に取っていた。
店員に勧められて試食した市内の30代の女性は「甘い。酸味はそんなになくて、どんどん食べられちゃう」と話した。価格は「いちごさん」にかけた1パック1530円で、これには「値段もよかね……」とつぶやく客も。ただ、この時期は出荷量がかなり限られるため、「お値打ち価格」という。18日まではPRも兼ね、この値段で販売する。冬が深まり出荷量が多くなれば価格も落ち着く見込みだ。
前田隆広店長は「甘みが強くて酸味とのバランスがよく、味は申し分ない。果肉も赤く、色々な用途で使えると思う」と話した。
まずは県内や隣の福岡などで売り出され、まとまった出荷ができるようになる12月以降に、東京や大阪といった都市圏でもデビューを飾る予定だ。
「いちごさん」は県などが7年かけて改良した新品種。ごくシンプルな名前は「小さな子どもでも呼びやすく、覚えやすい」と命名された。大ぶりで中まで赤く、ジューシーな甘さが特徴といい、面積あたりの収穫量も県の代表品種「さがほのか」より2割多いという。県によると、今季は166戸が約18ヘクタールで栽培に取り組み、約900トンの生産を見込んでいる。(杉浦奈実)