聞こえない子どもたちに手話ですべての授業を行う全国初の私立のろう学校「明晴学園」(東京都品川区)が今年、開校から10年を迎えた。ろう児のための新しい道を切りひらくとともに、聞こえない世界への社会の理解を広げる。そんな挑戦を続けている。
児童の目を見つめた教師が、右手のひらを自らの胸にトントンと当てる。手話で「わかった?」とたずねる教師に、児童も胸に手をトントンとあてる。「わかった」。教室は静かだが、子どもたちの手はせわしなく動き、質問が飛ぶ。わからないことをとことんたずね、納得のいかないことはみんなで議論するのが、開校以来の流儀だ。
創立10周年を記念して、17日には手話狂言や演劇などを披露する「千神祭」がある。山伏を演じる6年生の江浦心輝(こうが)君は、普段より両手を大きく動かし、表情や体の向きにも気をつける。「いつもと違う手話を表現するのは楽しい。見る人を笑わせたい」
学園は、1999年に狭いアパートで開いたフリースクールに始まり、08年に正式開校した。これまでに24人が中学部を卒業。いまは幼稚部から中学部に60人が在籍する。入学のために地方から引っ越してくるケースもあるという。約30人の教師のうち、半数がろう者だ。
学校の特色は、第1言語として…