兵庫県篠山(ささやま)市から「丹波篠山市」への変更の賛否を問う住民投票が賛成多数で成立して一夜明けた19日、出直し市長選で4選を果たした酒井隆明氏(64)が登庁した。27日に臨時議会を開いて市名変更に必要な条例案を提出し、来年5月1日の改元にあわせて変更を目指す方針を示した。
「丹波篠山市へ変更」賛成多数 注目の投票率、5割超す
市名変更を巡っては、市民3千人以上が回答した市のアンケートで約8割が変更に理解を示したとされる。酒井氏は「理解が得られた」として、8月に変更の方針を発表した。
だが、市民団体が署名を集めて住民投票の実施が決まると、酒井氏は「信を問う」と市長を辞職し、出直し選に臨んだ。結果、1万6939票を得て、6808票だった前市議会副議長の奥土居帥心(すいしん)氏(60)に約1万票の大差をつけた。
一方の住民投票は、市名変更に賛成は1万3646票(56・5%)で、当日有権者(3万5005人)の約4割。反対1万518票(43・5%)との差は3128票だった。
酒井氏は反対票が1万票を上回ったことについて、登庁した際、「相当数の反対があったことを肝に銘じていく」と述べた。当選証書を受け取った後の会見では「賛成、反対の議論は打ち切って、今日からはどうやって新しい丹波篠山をつくっていくかをみんなで考えていきたい」と語った。
市名変更に反対した「篠山市の市名を守る会」の梶原周逸(しゅういつ)代表は「アンケート結果などは市長の我田引水だったのではないか。ただ投票率が高く、市民に真剣に考えてもらったと感じる。僅差(きんさ)だったが、住民の意思は問われた」と話した。(鵜飼真、野平悠一)