保険各社が、認知症関連の保険商品を相次いで投入している。平均寿命が延びる中、認知症が「長生き」にまつわるリスクとして実感されてきたためだ。予防や早期発見のサービスを保険とセットにするなど、生損保が商品を競っている。
第一生命保険は20日、12月18日に発売する認知症保険を発表した。60歳男性の場合は月4857円で、認知症を発症すれば300万円の保険金が支払われる。保険加入者やその家族に、スマートフォンで認知機能をチェックできるアプリを提供。米企業と共同開発したアプリで、眼球の動きなどから判断する。
損保ジャパン日本興亜ひまわり生命は10月、認知症の前段階の軽度認知障害(MCI)と診断されれば一時金を出す保険を発売した。MCIで治療に当たれば発症を遅らせられるとされる。
東京海上日動火災保険が10月発売した「認知症あんしんプラン」(月1300円)は、認知症の人が誤って他人にけがをさせたり、行方不明になって捜索費がかかったりした場合に一定額を支払う。発症時に保険金は支払われないが、保険料は低めだ。日本生命もあいおいニッセイ同和と共同で、他人にけがをさせた場合などに保障する保険を11月から発売した。年約2千円で、認知症になった別居中の父母なども対象とする。
平均寿命が延びる中、生保各社は主力だった死亡保障タイプの商品が伸び悩む。一方で、認知症になるリスクは現実味を帯びる。厚生労働省の試算では、認知症の高齢者は2012年に462万人だったが、25年には700万人となり、65歳以上人口の5人に1人をしめるという。(柴田秀並)