米国との対立が深まるなか、習近平(シーチンピン)政権が推し進めるシルクロード経済圏構想「一帯一路」で関わりの深い国々を通り、欧州と結ぶ国際定期貨物列車が存在感を増している。世界最大の車両メーカー「中国中車(CRRC)」も、鉄道の本場欧州を舞台に技術をみがく。中国鉄道の「西方戦略」を取材した。
テツの広場
中国の購買力を見せつける狙いで、11月上旬に上海で開かれた第1回中国国際輸入博覧会。習近平国家主席が自ら、ロシアやハンガリーの首脳らを案内する一幕もあった。
中国コーナーで、ベトナムのフック首相らが中国自慢の高速鉄道車両「復興号」のシミュレーターに興じた。国営新華社通信によれば、時速350キロで駆け抜ける模擬体験に「速い」と声があがったという。
隊列数百メートルに
習氏は、中国と欧州を結ぶ国際定期貨物列車「中欧班列(チャイナ・レールウェー・エクスプレス)」も紹介。21世紀のシルクロードを行き来する「鉄のラクダ隊」とも呼ばれ、1万キロを超える道のりを2~3週間かけて走る貨物列車だ。数十個のコンテナが連なる「隊列」は、数百メートルにも達する。海運より早く、空輸より安いのが売りだ。
「中欧班列」は2011年、中国南西部の重慶とドイツ・デュイスブルクを結ぶ路線から始まった。「一帯一路」のもと、中国の地方政府が競って優遇策を講じたため、14年以降に本数が急増。17年には年間3600本に達し、今年は5千本を超える勢いだ。
中国側の起点は重慶や成都、武漢、義烏(イーウー)など53都市。行き先となる欧州側は英国やドイツ、スペイン、ロシア、ポーランド、ハンガリーなど15カ国の45都市に及ぶ。貨物はIT製品、自動車や機械部品から木材、食品まで多岐にわたる。当初は中国からの輸出に偏っていたが、流れは変わりつつある。欧州発の運賃を中国発より値引く業者もある。15年からサービスを始めた日本通運によると、富裕層向けの自動車やネット通販で購入した雑貨やワインなど食品類の輸入も増えている。
ただ、中国とロシアなど旧ソ連…