トランプ米政権の拠出金完全停止で財政難に陥った国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)トップのピエール・クレヘンビュール事務局長が12月3~6日の日本訪問を前にエルサレムで朝日新聞のインタビューに応じ、「人道支援を政治化させるべきではない」と強調した。
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米国は2017年、拠出金全体の3割強の3億6千万ドル(約410億円)を負担したが、今年は6千万ドルにとどまり、8月に完全停止を発表した。湾岸アラブ諸国や欧州連合(EU)、日本など国際社会の追加支援で最大4億ドル超の資金不足は約2千万ドルに減り、難民への教育や医療などの支援が止まってしまう人道危機は当面回避された。来年以降について「米国とは対話するが、支援を再開する夢は見られない」と述べ、他国からの支援継続を求め、支出削減を図ることで対応する考えを示した。
トランプ大統領はパレスチナ難民約530万人の多くが1948年のイスラエル建国当時の難民の子孫であるとして「(UNRWAの)受益者は増え続け、持続できない」と批判する。イスラエルとパレスチナの和平交渉から解決が難しい難民問題を外す狙いがあるとされる。
クレヘンビュール氏は「難民問題は非常に重要で、UNRWAに代わる機関はないので、国際社会の支援が集まった。アフガニスタン難民の子孫も国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に登録されている。正しい議論ではない」と反論。来年の国連総会でUNRWAの活動内容をめぐる投票が行われる際、「大多数の国が現在の活動を支持すると思う」と自信をみせた。来日時に河野太郎外相らとの会談を予定している。(エルサレム=渡辺丘)